現役通訳ガイドが綴るエッセイ──まりの想い  通訳ガイド  勝井まり(京都市北区)

旅に出ようよ──旅人讃歌

仕事柄会う様々な人々。

個人客の場合は、一緒に旅行する時間が
長ければ長いほど、いろいろな話をする機会
も多くなり、自ずとお互いいろいろとわかってくる。

そんな中でひとつ気がついた事。

個人客で旅行される方々は世界中を旅行する
旅行の達人が多い。

単に「どこどこの国にいってきた。」と
言うだけではなく、その国の持つ真髄をそれなりに
理解して持って帰ってくる人が多い気がする。

つい数日前。

アメリカからのカップルの御客様とお話して、
話題が私がいってきたばかりのイスラエルに及んだ。

私もその御客様もイスラエルがとても気に入って
楽しい旅であったことに気がつき、またユダヤ人と
アラブ人が政治的に翻弄されながらも
共存している姿に話がいった。

「メディアのイメージではいつも戦っている国だけれど、
政治的にはパレスチナ地区にユダヤ人が入れないなど
在りながらも、お互いが仲良く共存している姿が
本物だと感じた」とおっしゃる奥様の言葉に私は
まさに自分が感じたことそのままこの人も
感じた事をとても嬉しく思った。

この人たちは世界中ありとあらゆる国を回り、
肥えた目をもっている。

それは実際、彼らが彼らの目で見て、触れて、
体験してきた事から学んでいる、ということを
彼らの行動や言葉から感じとれた。

世界を理解するにはいろいろな方法がある。

でも、一番の学習は、やはりその場の空気を吸い、
そこに居る人たちとふれあう『体験学習」である気がする。

旅にでようよ。

時間はあっという間に過ぎてしまうから。

人生は、いろいろと煩っているほど長くはないから。

旅にでようよ。

勝井まり

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